英語圏ユーザーが離脱する“日本的な3つのミス”とは?

英語圏ユーザーが離脱する“日本的な3つのミス”とは?

日本の中小企業が越境ECに挑戦する際、気づかぬうちに“日本的な常識”を持ち込んでしまい、英語圏ユーザーにとっては不自然でストレスとなるUIや表現になってしまうケースが少なくありません。

英語で翻訳されているのに反応が悪い、アクセスはあるのに成約に繋がらない――それはもしかすると、「日本的な感覚のまま越境ECサイトを作ってしまっている」ことが原因かもしれません。

今回は、私が実際の現場で数多くの越境ECサイト制作に関わる中で見てきた、「英語圏ユーザーが即離脱する日本的なミス」を3つに絞ってご紹介します。


1. 「曖昧で遠回し」な表現や言い回し

■ 内容:

日本では「やわらかい表現」「察する文化」「丁寧語の多用」が美徳とされています。
しかし、英語圏では「明確に伝える」ことが信頼や誠実さに繋がるため、曖昧な言い回しやまわりくどい表現は逆効果です。

■ 例:

  • ❌ “We kindly ask for your consideration.”(ご検討のほどよろしくお願い申し上げます)
  • ❌ “We hope to be of some assistance in the future.”(今後ともお役に立てれば幸いです)
  • ❌ “We are sorry for the inconvenience caused by this situation.”(ご不便をおかけし申し訳ありません)

英語圏のユーザーはこれらを「具体性がない」「回りくどい」と受け取り、何が言いたいのか分からず離脱してしまいます。

■ 対策:

  • ✔ “Get in touch if you have any questions.”
  • ✔ “We’re here to help – contact us anytime.”
  • ✔ “We apologize for the delay. Your order will ship on May 3rd.”

「感情よりも事実」「丁寧さよりも明快さ」を意識すると、コンバージョン率が一気に改善します。


2. 「日本式レイアウト」や装飾過多なデザイン

■ 内容:

日本のECサイトは、バナー・ポップアップ・カラフルな文字・大量のリンク・過剰な画像などで構成されることが多く、情報量が非常に多い傾向にあります。

一方、英語圏のユーザーは“Less is more”(少ないほど良い)という思想に基づいたUI/UXを好むため、日本式のごちゃごちゃした画面を開いた瞬間に、「怪しい」「わかりにくい」と感じて離脱してしまうのです。

■ よくあるミス:

  • ファーストビューがバナーやポップアップで埋まっている
  • 背景と文字色のコントラストが弱く、視認性が悪い
  • 全角英数字、カラフルな装飾文字、点滅・アニメーション過多
  • 商品情報が長文で写真が少ない

■ 対策:

  • ✔ 白を基調にし、余白をたっぷりとる
  • ✔ 見出しとボタンはシンプルで強調し、読みやすさ重視
  • ✔ 英語ネイティブ向けに「文字よりも写真」重視
  • ✔ 不必要なバナーは排除し、1カラム設計にする

英語圏では「スマホ片手に3秒で理解できる構成」が重要。第一印象の5秒で信頼を得られる設計が求められます。


3. 「日本国内前提」の情報・導線・期待値

■ 内容:

日本の常識を前提に構成されているECサイトは、英語圏ユーザーにとって「???」の連続になります。
「都道府県」「カナ氏名入力欄」「郵便番号ハイフン入力必須」「代引き」など、日本独自の設計が多く残っている場合、購入プロセスで離脱されてしまうのです。

また、日本の「即日出荷」「翌日到着」「カスタマーは神様」的な考えが無意識にサイト全体の雰囲気に出てしまうことも、海外ユーザーにとっては“やりすぎ”に見えることがあります。

■ よくあるミス:

  • お問い合わせフォームで「フリガナ入力必須」
  • 「配送方法:ヤマト運輸のみ」
  • 「お支払い方法:銀行振込/代引き」しかない
  • 商品説明で「国内送料無料」と記載
  • 納期の記載が「3営業日以内」など、日本の休日ベース

■ 対策:

  • ✔ 名前・住所欄は英語表記(First name / Last name)で切り替え
  • ✔ 支払い手段にPayPal・Stripeを導入
  • ✔ 納期・送料は国別で記載し、「何日後に届くか」を具体的に
  • ✔ 配送ポリシー/返品ポリシー/プライバシーポリシーを明記

まとめ

越境ECにおいては、英語に翻訳するだけでは不十分です。英語圏ユーザーの「文化的常識」「美意識」「購買行動」に寄り添った設計・文章・UIがなければ、どれほど良い商品でも売れません。

今回紹介した3つの“日本的ミス”は、気づかぬうちにやってしまっていることが多く、それだけに改善すれば効果がすぐに表れるポイントでもあります。

“When in Rome, do as the Romans do.”(郷に入っては郷に従え)

越境ECとは、まさに“異文化への敬意と適応”を示す挑戦。
その第一歩は、あなたのECサイトから始まります。

この記事を書いた人

福田 圭亮

(越境ECサイト制作エンジニア・フリーランス)

フィリピン在住。
海外経験8年以上、エンジニア歴5年以上。
元トップセールスマン(NTTネット回線販売で全国1位)
エディオンで17店舗のエリアマネジャーを経験
海外在住の強みを活かし、越境ECサイト・多言語サイトの構築を専門としています。
企画・デザイン・開発・翻訳・マーケティング支援まで一貫対応。
東南アジアマーケット(特にフィリピン)に精通しています。
中小企業・個人事業主の「海外へ売りたい」を全力でサポートいたします。

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